ニュートン反射の筒内気流対策(私的なまとめ) その1
・惑星写真のプロの方のブログの古い記事を見ていたら、SCTの筒内気流対策で付けたファンを「撮影中も回し続けている」との記述を見てびっくりした。
・もしかしたら詳しい方々には常識なのか?私が知らなかっただけか?
・ファンは鏡を冷やすためにあるもので、撮影中に回すと気流をかき混ぜて筒内気流を発生させているようなものだ、振動も出るし、と思っていた。
・しかし、そのブログの記事にはON/OFFの比較画像も載せてあり、その効果は一目瞭然。すごい説得力。
・で、ニュートンならどうだということで、検索してみると、国内外に新旧それなりに記事がある。
・私が知らなかっただけで、15年も前にS&T誌の詳しい記事があったり、詳
しい方々はずいぶん前から対策していたこともわかった。
・シーイングというか、シンチレーションの影響が大きく、使用頻度の落ち
ている手持ちの25センチ反射が、もしかしたら生き返るかもと思い、いろ
いろ読んでみた。
・いろいろマニアックでついていけない記事も多く、苦手な英語を読み込んだわけでもないので、理解が正しくないかもしれないし、そもそも意見の分かれるところもあるようだが、とりあえず、これらをざっくりまとめて、「ニュートン反射の筒内気流対策は、単純に言うとこういうことね」という自分用のメモを作った。
・以下のメモをもとに「冬休みの工作」に取り組む予定。
ニュートン反射の筒内気流対策(メモ)
いろいろ調べたことをざっくりメモ化する。
1 筒内気流の原因など
A:主鏡自体が熱源となって、主鏡のすぐ上に暖かい空気の層が形成され滞留する、一部は鏡筒内を上昇する。
→ 主鏡からのモヤモヤの画像はWEBに沢山載っている。
このモヤモヤは、Schlieren(シュリーレン)=「透明な流体の乱流において,屈折率の差
によって見られる筋」というらしい。すごい影響だ。
B:鏡筒の材質が鉄やアルミの場合、外気で冷えて内壁付近に冷たい空気が発生し、鏡筒の内壁下部に冷たい空気が滞留し、(主鏡から上昇してきた)暖かい空気が内壁上部に滞留する、または、そこに向けて空気の流れが生じる。
→ かといって、トラス構造では人体(熱源)の熱が鏡筒内に流れ込む。(後述)
→ このシリーズは、これ以外にも、今見ると有益な情報が載っている。
頭の整理にぴったりだ。「チロの天文シリーズ」恐るべし。
でも、こっちのレベルが低いだけか。
→ 星の光は、Aを2回(行きと帰り)、Bを1回通ることになる。
原因そのものではないが留意すべきこととして、
C:望遠鏡を1~2時間外気になじませても、外気の気温と主鏡の温度
は同じにならないことが多い。
さらに、気温がどんどん低下する夜は、主鏡の冷却スピードは外気の
気温低下に追いつかない。
→ これはよく経験する。冬は一晩中馴染ましてもダメな時はダメ。
2 温度管理目標
外気と主鏡の温度差が「1.5°F=0.8℃」以上、あるいは「1℃」以上あると悪影響がある。
→ こんなに厳しいのか。うーむ。
3 対策
→ 筒内気流を低減するとは、空気の流れを「止める」のかと思っていたが、全く間違いだった。どこを見ても「MIX」と書いてある。止めるのではなく、「かき混ぜる」んだ。
「後部ファン」
・主鏡の後ろから吹きつける。(→これはよく見る例だ。)
・主に「原因C」対策。主鏡の冷却用。
・主鏡の周囲(セルの隙間)を通り、鏡筒前方(斜鏡方向)へ弱い空気
の流れが出来、「原因B」対策にもなる。
・ただし、この場合は主鏡表面の中心に空気の澱みを作る可能性。
「側面(吸気)ファン」
・セル近くの鏡筒側面に穴をあけ、主鏡表面付近に吹き付ける。
→ 排気ファンでもいい気がするが、吹き飛ばした方が効果ありか?
・「原因A」対策。モヤモヤを吹き飛ばす。
・反対側に(同口径の)排気口が必要。
・観測中(撮影中)も動かし続けるべき。
この場合、ファンの振動の影響は高倍率で確認すること。
・鏡筒の剛性に注意。
・結構、大きな穴を開けるので心理的に抵抗のある人もいる。
(特にピカピカの望遠鏡の場合は。)
番外として、
「吊りファン」
・主鏡のすぐ上にファンを斜鏡のように吊って正面から吹きつける。
・大口径反射の場合の「原因A」対策。モヤモヤを吹き飛ばす。
→ 結局、ダイレクトな「B対策」がない気もするなあ。
(続く)