Meadeの30cmSCTを手に入れたので、筒内気流対策などを梅雨の間に施すことにしました。今までSCTのことは考えたことがなかったので、まずはNETや雑誌でいろいろ見て、自分なりにまとめることにしました。あくまでも、私的なメモです。
筒内気流対策の考え方<1>
1 筒内気流の発生
発生メカニズムは正直よくわかりませんが、いろいろ見たり読んだりしたところ、
以下の3つの要素がメインのようです。
(1)外気(冷気)が薄い金属の鏡筒に伝わり,あるいは鏡筒から熱が放射され、鏡筒の内壁付近の空気
が急速に冷やされる。
※ ピカピカで黒に近い色(ミードは濃紺、セレストロンはほぼ黒)のアルミまたは鉄製の薄い鏡筒
は放射率が高く冷えやすいということか。
※ 8inch純カセの鏡筒がまさにピカピカの黒い鉄製で、鏡筒が冷えてよく見えるようになった後、
冷えすぎて見え味が落ちるという経験をしている。(金ぴかサバイバルシートでかなり改善)
(2)一方で、主鏡はガラスの塊,セルは金属の塊なので、一旦暖まると冷えにくく、 (鏡筒内部の)
近くの空気を暖めるとともに、主鏡のすぐ上に暖気が立ち昇りやすい。(シュリーレン現象)
(3)筒先から(SCTの場合は補正板を通じて)鏡筒内部の筒先付近の空気が冷やされる。(ガラスの
放射率もかなり高いようです。)この結果、鏡筒内の空気の温度が不均一になり像が乱れる。
2 対策の考え方
考え方は、主に以下の2つ。
A案:鏡筒内の気温・主鏡温度を外気温と均衡させる。
・主鏡(セル)を冷却して温度低下を早める。
・鏡筒そのものは冷えやすいので何もしない。
・少なくとも、主鏡を含め外気温と均衡するまでは、鏡筒内の空気をかき混ぜ(MIXして)温度を
均一化する。
→ 冷えにくい主鏡を強制的に冷やして外気温の低下に追いつかせる。
→ A案は、惑星写真の権威?の方など実績十分。
→ さらにセルに冷却ユニットを複数取り付けて強制冷却されている猛者も!
B案:外気温にかかわらず、鏡筒内の気温の均衡が保たれるよう管理する。
・鏡筒内の気温が、外気により急激に下がらないよう断熱し、鏡筒内の気温が均衡していた状態を
なるべく保つ。
・室内(ルーフオープン前)の温度管理も重要。(鏡筒内の温度を均衡させるよう管理する必要
あり。)
・外に出したら、主鏡(セル)は冷えにくいのであまり気にしない(?)。
→ もちろん鏡筒内の空気が徐々に冷えていくが、主鏡も徐々に冷えるので、急速な温度差は生じ
ない(はず)。ただ、冷えるスピードが同じという保証はない。
→ 徐々に冷えていく過程で、不均一となった鏡筒内の空気をかき混ぜ(MIXす)る必要がある
かもしれない。
3 具体の対策例
A案:大規模な鏡筒改造が必要となる。以下のような例が多い。
(1)鏡筒の補正板寄りに排気ファン
取り付け位置、数にもよるが、鏡筒内壁付近の冷気を排出するとともにかき混ぜにも寄与
(かき混ぜられた空気を排出)。
(2)主鏡セルに吸気ファン
主鏡を冷却するとともに筒内空気をかき混ぜる。(主鏡付近の暖気を吹き上げる。)
主鏡裏からの吸気なので、主鏡表面中央部は盲点というか、直接風が当たらないが、かき
混ぜられるので良いということか。
B案:原則、鏡筒の改造不要。いつでも元に戻せる。いろいろな例がある。
(1)鏡筒を断熱効果のあるものシートなどで覆う。
・例:銀シート(レジャー用)、断熱シート(住宅用)、
サバイバルシート(登山用の表が金、裏が銀の薄いアルミ防寒シート)、
ヨガマット、コルクシートなど
・鏡筒の内壁に貼っている例もあるが、大部分は外側。
多分、内壁は作業が大変だから?
・主鏡セルまで貼っている例もあるが、多数は主鏡セルむき出しのまま。
室内で温度が均衡しているなら、セルまで覆うという手もあるが、徐々に鏡筒内空気が冷え
ていくことを考えればセル(主鏡)も徐々に冷えた方がよいとも言える。
(2)補正板対策として、フード内に小型ファンをつけてフード内の空気をかき混ぜている例あり。
・これは、むしろ夜露防止か。(しかし、その場合は乾燥空気?)
・お茶畑の防霜ファンと同じで、空気(外気)より温度の下がった補正板の温度を、空気をかき
混ぜることにより緩和するという理解かな。
※ お茶畑の場合、放射冷却などで冷えた地面より少し温度の高い地表5m程度の空気を
ファンで地面に吹き付け、地表付付近の温度低下を緩和して、新芽が凍るのを防いで
いるらしい。観測所の目の前は茶畑なので、早霜、遅霜が心配される頃の冷えた夜はよく
ファンが回っています。話がそれますが、音がすごいのと、せっかくの逆転層が破壊され
シーイングがボロボロになることが多いです。
共同観測所から西南西方向。ずらっと防霜ファン。この日は錦江湾に雲海ができました。左方向は桜島。
(続く)