当時、西側(右側)のδ星までは撮影できたので、さあ次は左のβ星だということで、すっかり盛り上がった記憶がある。
下が当時の写真。開聞岳の南側の標高100m地点での撮影。赤い↓はδ星
で、その時の結論は、平地からは無理だが、開聞岳頂上まで行けば俯角が大きくなり、海面上に出てくるので撮影可能ではないかというものだった。
それ以来、時間がとれれば、開聞岳に登ってみようかなと思っていたが、その後、全く暇がなくなって10年以上たってしまっていた。
それで、一応きちんと計算しようと思いついて、大気中の光の屈折は無視して、直線ベースの簡単な作図をして、俯角を計算する簡易な式を作ってみた。(先々週の話)
こういうのは10年に一度くらいしか気にならないので、記録として残しておこう。
まず、作図した。
A山の頂上A点からB山の頂上B点への俯角(∠CAB)=θ(ラジアン)を求める。
撮影地であるA山頂上の標高をhメートル= AE
A山の真南に位置するB山頂上の標高をHメートル = BF
A山とB山の緯度差 =φ
地球の半径をR(=6,378,000メートル) = OE = OF とし、
B山の頂上(点B)から、A山の頂上(点A)と地球中心Oを結んだ直線AOと垂
直な補助線BDを引く。
△ABCにおいて、
tanθ=BC/AC
△ABCは、△BADと相似だから、θ(∠CAB)=∠ABD
tanθ=DA/BD … (1)
DA=OA-OD
OA=OE+AE=R+h、
また、△OBDにおいてOD=BOcosφ だから、
DA=(R+h)-(R+H)cosφ … (2)
一方、△OBDにおいて、
BD=OBsinφ=(OF+FB)sinφ=(R+H)sinφ … (3)
(1)、(2)、(3)より,
ここで、R>>>H、φは微小な角なので、
H×φ=0、H×*2 / R×φ
= (h-H) / R×φ + (R×(φ^2)/2) / R×φ
=(h-H) / R×φ + (2×R×(φ^2)/2) / 2R×φ
=(h-H) / R×φ + (R×(φ^2)) / 2R×φ
=(h-H) / R×φ + φ/2
結果、(4)式の近似式は、
∴ θ=(h-H) / R×φ + φ/2 …(5) 単位:ラジアン
使いやすいように角度の分(θ’) に変換式を作っておくと、
θ’=θ×(60×(180/π)) = θ×3437.75
π:パイ
∴ θ’= θ×3437.75 …(6) 単位:分
ちなみに、B山がない場合、すなわち海面lineの俯角を求める。
海面lineの俯角は、θ=∠CAF=90°-∠FAO
一方、直角⊿AOFにおいて、φ=180°-90°-∠FAO=90°-∠FAO
したがって、φ=θ、また、H=0なので、それぞれ(5)式に代入すると
θ= h/R×θ + θ/2
両辺にθをかけると、
θ^2= h/R + (θ^2)/2
(θ^2)/2= h/R
θ^2=2h/R
∴ θ=√(2h/R) …(7) 単位:ラジアン
ここも使いやすいように角度の分(θ’)に変換式を作っておくと、
(6)、(7)式から
θ’= √(2h/R)×3437.75
= √(2h/6,378,000m)×3437.75
= √(h×2/6,378000)×3437.75
= √(h) ×√(2/6,378000) ×3437.75
= √(h) × 1.925
∴ θ’=1.925√(h) …(8) 単位:分
うーむ、本当に合っているのか?
特に近似式は自信がない。
一応、(4)式は、天文仲間の詳しい方に見てもらっている。
ちなみに、その天文仲間からは問い合わせメールをしてから1時間弱で返事が来た。それもエレガントな解き方で、実際の計算結果まで添えられていた。こっちは半日以上かかってやっと(4)式を作るところまでこぎつけたというのに。
さて、あとは実例で計算&検算(検証)だ。
(続く)
*1:R+h)-(R+H)cosφ)/((R+H)sinφ)
ここで、θは微小な角なので、tanθ=θと近似できる。
∴ θ=((R+h)-(R+H)cosφ)/((R+H)sinφ) …(4)
単位:ラジアン
どうせエクセルで計算するので、このままでもいいが、以下、近似式を考える。
まず、φも微小な角なので、φ→0 の時の近似式は、
sinφ=φ-(φ^3)/6 + …
cosφ=1-(φ^2)/2 + …
そこで、sinφ=φ、COSφ=1-(φ^2)/2を(4)式に代入すると、
(sinφの近似式の2項目を入れると簡易計算にならないので、無視する。あとで要検証)
∴ θ=((R+h)-(R+H) ×(1-(φ^2)/2)) / (R+H)×φ
= (R+h-R-H+(R×(φ^2)/2)+(H×(φ^2)/2
*2:φ^2)/2) =0と割り切り、近似できるので、
θ= ((h-H)+(R×(φ^2)/2